分煙が無意味とされる理由とは？効果的な分煙対策を考える上での留意点

カフェやレストランでも分煙に取り組んでいますが、成功している店舗もあればそうではない店舗もあります。受動喫煙を防止するのが目的なので、その目的が達成されなければ意味がありません。分煙の種類、メリット、デメリットなどを紹介するので、必要な施策を講じるときの参考にしてください。

分煙だけでは不充分？意味がないといわれている理由

形骸化しないように取り組むことが大切です。

マナーやモラルの問題で片付けられない

日本は外国と比較して、マナーやモラルの問題で片付けようとしている傾向があります。なぜ分煙が必要なのか、受動喫煙を防止すると健康上にどのようなメリットをもたらすのか理解する必要があります。形だけ取り組んでいても、本来の目的を達成できないでしょう。

問題が指摘されている実例

たとえば、規模が小さい個人経営の居酒屋などでは受動喫煙を防止するための施策を講じる必要がありません。そのため、不公平に感じている人もいます。また、カフェやレストランでも喫煙スペースと禁煙スペースを分けているものの、煙が広がってくることで嫌な思いをしている人もいます。

分煙の本当の意味とは？分煙の種類について解説

メリットとデメリットも見ていきましょう。

空間分煙

カフェやレストランなどでは、喫煙スペースと禁煙スペースに分かれています。こちらは馴染みのある方法なのでイメージしやすいでしょう。喫煙者は所定の場所でタバコを吸えるので我慢する必要がありません。

メリットとデメリット

メリットは低コストで分煙できることです。喫煙者をスペースの定められた一画に集めるだけで済むので、設備投資に悩む必要がありません。デメリットは、完全に分煙できないことです。スペースは区分されていますが、煙が広がってくる恐れがあります。そのため、受動喫煙を防止する観点で考えると不充分でしょう。

時間分煙

喫煙時間を指定する方法です。カフェやレストランでは、ランチタイムの喫煙は不可、夜間のみ喫煙可能というような張り紙などを掲示しています。タバコの煙に悩まされたくない人は、喫煙できる時間帯を避けてサービスを利用できます。

メリットとデメリット

メリットは低コストで分煙できることです。時間分煙の張り紙と灰皿のみ準備すれば問題ありません。もっともコストが発生しないでしょう。デメリットは、壁や天井などに汚れが付着することに加え、タバコの臭いが室内に充満することです。また、喫煙できる時間帯に非喫煙者がサービスを利用すると、タバコの煙を吸い込んでしまいます。

喫煙ブースを設置する分煙

空間で仕切るだけではなく、タバコの煙が広がらないような設備が設けられているのが特徴です。煙が広がりにくいので、非喫煙者が近くのスペースにいても安心して過ごせます。

メリットとデメリット

メリットは利用者に不満が生じないことです。喫煙者も気持ちよくタバコを吸えます。非喫煙者も安心してサービスを利用できます。デメリットは、コストが高額になることです。工事費だけではなく、消火設備を購入する費用や排気設備を導入する費用も発生します。

煙の拡散を防ぐにはどうすればよい？効果的な分煙対策

2種類の方法を紹介します。

カウンター型およびテーブル型

カウンターやテーブルに分煙機が内蔵されています。周辺で喫煙するとタバコの煙が広がらずに済みます。また、煙が吸引されるだけではなく、空間全体の空気を綺麗にしてくれるのでおすすめです。こちらのメリットは、低コストで導入できることです。

また、重量物ではないので、女性でも簡単に移動や設置ができます。設備投資するときは、耐用年数が6年になっているので、減価償却で算出できるようになっています。フィルター清掃などの手間が発生するので、清掃要領も決めておきましょう。

キャビン型

こちらは壁で仕切ることで、喫煙者と非喫煙者を区分けします。そして、壁で仕切るだけではなく空気清浄機を設置することで、煙が広がらないようになります。物理的に距離を取るだけではなく、煙が広がらないように配慮できるのでおすすめです。人数やスペースの広さに応じて、自由に大きさを変更できるのも便利でしょう。

ただし、空気清浄機のメンテナンスを業者に依頼するときの頻度や、スタッフが日頃のメンテナンスを行うときにどのように進めるのかなどを決めておく必要があります。とくに、喫煙室の設備なので、非喫煙者がメンテナンスに積極的にならないことも考えられます。そのあたりも充分考慮してスタッフの意見も取り入れながら決定しましょう。

レンタルもできる

固定資産にしたくないと考えている人や、大掛かりな工事をしたくないと考えている人もいるでしょう。そのような人におすすめできるのがレンタルサービスです。レンタルサービスを利用するとコストを抑えられるメリットもあります。

将来的に全面禁煙に踏み切りたいと考えている人は、一定期間のみレンタルサービスを利用してみましょう。サービスの内容にメンテナンスが含まれている場合があります。喫煙者はいつも綺麗な環境で喫煙できるだけではなく、設備の故障なども未然に防止できます。

分煙を成功させるために必要な施策とは？社員の協力も不可欠？

全員で協力して成功させましょう。

意見をヒアリングする

企業のトップクラスだけで分煙を成功させるのは難しいでしょう。社員に協力を仰ぐようにしてください。このとき、トップダウンではなくボトムアップの姿勢で接すると成功する確率が高まります。喫煙者の意見をヒアリングするだけではなく、非喫煙者の意見もヒアリングしましょう。

喫煙者に対するヒアリングでは、1日の喫煙本数、時間、将来的に禁煙に取り組むかどうかを確認します。

非喫煙者に対するヒアリングでは、喫煙者の行動で気になることや要望があるかどうか確認します。

この際、意見をヒアリングするだけで終わらないようにしましょう。聴取した意見をどのように活用するのか社員に伝えるようにします。たとえば、将来的に禁煙に取り組みたい喫煙者に対し、病院の禁煙外来のセラピーに参加できるように会社としてバックアップするのかなどを示すようにします。

説明会や研修会を開催する

社員は世の中の流れを理解しているので、日本だけではなく世界中で分煙が進行していることは知っているでしょう。しかし、社員のなかにはなぜ取り組まなければいけないのか、灰皿を設置するだけではいけないのかという疑問を抱いている人もいます。そのような社員に対して誠実に回答するように心がけましょう。

目的、法律の根拠、健康意識の高まりなどの国民の意識の変化などを踏まえて説明すると理解が深まるでしょう。このような研修会や説明会は一度だけ開催するのではなく、研修の内容がうろ覚えになってきたタイミングで開催して、形骸化しないように工夫します。

設備投資について検討する

喫煙室を設けるときだけではなく、全面禁煙にする場合でも、現在使用している灰皿などを処分するために費用が発生します。設備投資について検討しましょう。喫煙者が少数であれば、思い切って全面禁煙にする方法もあります。金銭的な負担を軽減するためではなく、社員の健康管理という意味でも、どのように判断を下せばよいのか考えましょう。

まとめ

自分たちだけで施策を考えようとするのではなく、成功事例を参考にしてみるとよいでしょう。社員の健康を守るための取り組みなので、いろいろなアイデアを参考にしてください。自社の特性に応じた施策を講じる必要がありますが、まずは思い切って取り組んでみることも大切です。少しずつ設備投資する方法やレンタルサービスも活用しましょう。

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